九州南部の重要港湾「志布志港」大規模整備
今回訪れたのは鹿児島県東部の大隅半島に位置する志布志港の若浜地区と新若浜地区です。志布志港は鹿児島県及び宮崎県南部を主な背後圏とする重要港湾で、今後も発展が見込まれるため20〜30年後を見据えた整備が各所で行われています。
志布志港について、わかりやすい動画が鹿児島県の公式Youtubeで公開されているので、よろしければご覧ください。
南生建設も志布志港の整備に関わっており、今回は若浜地区と新若浜地区での工事をご紹介します。
若浜地区 岸壁仮設工事
若浜地区は志布志港の飼料供給基地として最重要な地区です。飼料会社が集積しており、輸入した穀物などを原料として配合飼料を製造し、主に南九州地域における配合飼料の供給基地としての役割を果たしています。そして、志布志港は九州で唯一国際バルク戦略港湾(穀物)に選定されたことから、大型バルク船に対応するための岸壁工事を行なっています。(国際バルク戦略港湾として整備を進めているのは「新若浜地区」)
この地区で行われている工事は、これから岸壁を作るにあたりその影響で「南ふ頭2号岸壁付近の既存施設」が倒壊することがないよう、海底に「鋼管矢板(こうかんやいた)」という鉄の杭を打ち込み、地盤が崩れないようにする工事です。
私が現場を訪れた時は、作業ヤードに生えている草の撤去や、消波ブロックの移設などを行なっていました。なお、移設する消波ブロックの数はなんと250個以上!文字で書くのは簡単ですが、1つ4~5tある消波ブロックを動かすには大型クレーンが必要で、1つ動かすのもひと苦労という感じでした。大変な作業です。


こちらが地中に打ち込む鋼管矢板です。直径1m長さ26m(最後に高さを揃えるため上部をカット)の鋼管を39本海底に打ち込むことで大型ケーソンを据えつけても周囲の地盤に影響が出ないようにします。
志布志港の大規模整備は「志布志港長期構想」として今年3月に策定されたばかり。整備はおおむね2040年代まで続くようです。今回の工事は長期構想策定後の最初の一歩。
これから志布志港がどう変わっていくのか楽しみです。
この現場のみなさま

現場位置
新若浜地区 ケーソン製作

若浜地区から目と鼻の先にある新若浜地区は、国際コンテナターミナルが設置されており、志布志港の国際物流の中核として機能しています。
こちらの現場では今後防波堤にするためのケーソンを仮置きする作業をしていました。
こちらがケーソン製作の流れです。ケーソンの大きさは延長(L)18.0m×幅(B)19.8m×高さ(H)18.5mとたいへん大きなもの。
当日朝、港に着くと、ケーソンはフローティングドッグに載せられ沖合で曳航(えいこう)を待っていました。志布志港は大小さまざまな船が往来しますし、潮の満ち引きも考慮して、曳航は午前9時くらいからはじまりました。
フローティングドッグに水を入れて沈ませるとケーソンが海に浮かび、曳航スタート。
ケーソンは2隻のタグボートによって、約1時間かけて約1.5km離れた起重機船の停泊する場所まで曳航されました。
タグボートを使った曳航から、起重機船を使ったケーソン置き場に据え付けの動画です。
起重機船までの曳航は1時間程度で終わったのの、そこから置き場まで動かし、据え付けが終わるのは午後2時過ぎになっていました。とても大きなものだけに設置となると調整に時間がかかります。
南生建設所有の起重機船「第一南生丸」。海上土木の仕事をする際には欠かせない船です。
上のパートでも書きましたが志布志港の整備はまだはじまったばかり。今後も「第一南生丸」が志布志で活躍する機会も多そうです。
第一南生丸に乗っているみなさま
起重機船の乗組員は一度現場に入ると「一週間船の上で過ごす」ということも少なくなく、これまでなかなか写真に映る機会もなかったそうです。作業の都合で私は5分と船に乗れなかったのですが、乗組員の方々が作業以外の時間、船でどう過ごしているのか気になってしまいました(笑)
また機会があれば起重機船に乗ってみたいです。

















