指宿スカイラインを今より使いやすくするために!池田大橋 ‐下部工基礎工事

今回訪問した現場は、2024年11月に訪れた工事現場↓をさらに南方向に進み、イッシーで全国的に有名な池田湖近くになります。

今回も大きく曲がった道を直線的な道路にするための工事で、南生建設はこれから谷に架橋する池田大橋の下部工(橋の下部分)の基礎工事を行っています。



こちらは今後架橋される池田大橋の図面で、赤い部分が今回の工事になります。
簡単に書くと、「橋をしっかりと支える杭」を作っています。



■物資の運搬はすべてクレーンを用いる

現場は谷なので、資材を運び込んだり掘った土を運び出す際にはクレーンが必要になります。クレーンが載っている橋は現在の道路高にあわせて作られており、地面からの高さは30mほど。

クレーンの運転席から現場(穴の部分)は死角に入ってしまうため見えません。そのため吊り荷の上げ下げは、現場にいる人がトランシーバーで細かく指示(それこそ数秒ごとに)を出しながら行っていました。
吊り荷には慣性が働きます。指示も操作も、どちらも少しでも間違えると物資落下や激突などの大きな事故がおきかねません。そのためクレーンを動かす際は神経を集中して慎重に行っていました。


私が訪れた際に行っていたのは「大口径深礎杭」を作るための掘削作業。
直径9.5mもの大きな穴で、穴が崩れぬよう壁面に「ライナープレート」という金属の補強をいれながら-22.5mまで掘ります。掘り終えたら鉄筋を組み、コンクリートを打設することで、橋を支える大口径深礎杭を作るのです。


なお、この現場は近くで家畜の飼育が行われているため、掘削にあたり岩が出た際、大きな音や振動が出る発破は行えません。そこで静的破砕剤「太平洋ブライスター」という薬品を使って岩を砕いているそうです。

太平洋マテリアル社が「ブライスター」の紹介動画を公開しているので、興味がある方はご覧になってください。「ブライスター」は発破と比べるとやはり時間はかかりますが、反面、静かで安全に破砕が行える特徴があります。


最深部(当時 -9m)も見学させてもらいました。
このバックホウは穴を掘り、砕いた岩や土をバケットにいれる作業をしています。バケットはクレーンが回収します。深く掘れば掘るほどクレーンと現場の距離は離れていきます(最大50m以上)。当然、作業難度は上がっていくわけで、チームワークがとても重要になります。



現場のみなさま

私はこれまで何十箇所か土木の現場を見てきましたが、音声指示だけを頼りにクレーンを操作している現場というのははじめてでした。まさに職人の技が光る現場です。
この現場の工事完了は来年1月。工事はまだ序盤といったところ。先はまだ長いですが、どうぞご安全に!



今回の現場


現場管理:南生・福尚特定建設工事共同企業体
文・写真:小島健一

PHOTO LIBRARY現場レポート by小島健一
見学家小島健一が訪れた、鹿児島県の建設会社「南生建設」の手掛ける現場のレポートです。月に1度くらいの頻度で更新予定。