学校を使いながら校舎を建て替える「紫原中学校」

さて、今回訪れたのは鹿児島市紫原6丁目にある鹿児島市立紫原中学校です。

1960年代に開校した同校では、老朽化した校舎の建て替え工事が進められています。今回新しく建てられるのは、鉄筋コンクリート造4階建て、延べ床面積約4,300平方メートルの校舎。工事を担当するのは、南生建設を代表とする特定建設工事共同企業体(JV)。

学校の建て替えで難しいのは、工事だけを考えて現場を動かすことができない点です。すぐ隣では、普段通りに生徒たちが授業を受け部活動を行っています。

「学校を使いながら、新しい学校をつくる」。

そんな現場では、どのように工事が進められているのだろう?
そんなことを考えながら現場を訪れました。


2026年8月24日撮影

ご覧の通り、既存校舎もあることから建設規模に対して使えるスペースはそう広くありません。そのため現場事務所は学校外にある駐車場に設置されていました。


今回訪れたタイミング(2026年9月上旬)では3階までコンクリートの打設が終わり、4階の天井を作る準備を行なっていました。空が少し霞んでいるものの、遠くに桜島が見えるのがいかにも鹿児島市の学校です。

こちらは、まさにこれから天井を施工する準備をしているところ。コンクリートを流し込むための柱などを作っていました。


こちらも4階部分。訪問前に強い雨が降ったため、まだ天井のコンクリートを打設していない部分に雨が入り込んでいました。すぐに作業をする場合、まず排水を行うことになり、工程が増えてしまいます。

こちらは3階。窓がまだついていないためこちらも雨が入り込んでいましたが、そのままでは施工に支障が出るためポンプを使い排水していました。

こちらは階段部分。人力による排水。9月は多くの台風が鹿児島に到来します。この時期の工事は建築であれ、土木であれ、雨をどのように制御するか、あるいはその影響をあらかじめ見越しておくのが工事の決め手になるのです。


こちらは現校舎と接続する渡り廊下。この先には学校に通う生徒がいます。

そのため生徒達の授業の妨げにならぬよう、大きな音は極力避け、音楽のリスニングや英語のヒアリングテストなどが行われるような時は工事を一時的にストップします。毎月先生方と協議を行い、そういった工事計画を立てているそうです。

また、授業の休み時間に現場をずっと眺めている建築に興味あり?な”将来有望な生徒さん”や、作業者に「がんばれ〜」と声援を送ってくれる優しい生徒さんもいるそう。そういう生徒の目があるからこそ「半端なことはできない」と、日々気を引き締めて作業をされているそうです。これこそまさに学校ならではエピソードです。


こちらはすでに工事の進んでいた1階。各階、中廊下式で左右に教室が作られています。なお、廊下と教室仕切る窓のフレームには県産品の杉が使用されているそうです。

なお、今回私がこの現場を訪れる1ヶ月ちょっと前に熊本県で大きな地震が起きました。そのため熊本の工場から届くはずの資材が遅れているとのことでした。また、今年2月に勃発した中東ショックで市場全体でナフサ関連の資材が高騰してしまい、今年は「日本の建設業にとって厳しい年」。

そういう中でも市場に先回りして発注をかけたり、全体の作業を調整してなるべく工期に支障がないようやりくりしているそうです。ある日突然起きる市場の混乱をうまく乗り切れないと現場の作業は止まってしまいます。

いかに現場を止めず作業を進めるか。

建設現場の管理は、現場だけでなく世間の動向を広く見ていなければできない仕事と言えるでしょう。


この現場の皆様

この現場は常時50〜100名程度の職人さんが働かれている大所帯。
撮影時にはサッと脚立を用意してくださったりして撮影にとても協力的でした。
工事完了までどうぞご安全に!



現場位置

PHOTO LIBRARY現場レポート by小島健一
見学家小島健一が訪れた、鹿児島県の建設会社「南生建設」の手掛ける現場のレポートです。月に1度くらいの頻度で更新予定。