山川漁港 水産流通基盤 (特定) 整備工事 -防波堤整備
今回訪れたのは、山川漁港で行われている防波堤整備の現場です。
これまで山川漁港では「湾内の浚渫工事」と「荷捌き施設の増築工事」を撮影してきましたが、今回の防波堤はその沖合にあり、湾内を航行する船舶の安全性を高め、荷捌き施設を波から守る機能を持っています。
■ブロックを作る地上ヤード
まずご紹介するのは防波堤を固める「消波ブロック」を作っているヤードです。
四脚の「消波ブロック」は一般的に「テトラポッド」と呼ばれる事が多いですが、「テトラポッド」は株式会社不動テトラが登録商標を持っていることから、現場では「消波ブロック」と呼んでいます。
「キャタピラを無限軌道」、「ユンボを油圧ショベル」と呼ぶのと同じですね。
防波堤を整備する際に使われる「消波ブロック」は、1つ1つが大きく、使用する数も多いため通常現地で作られます。そしてこの現場ではなんと200個近い消波ブロックを作るそうです。
完成した消波ブロック
■消波ブロックのできるまで
消波ブロックは金属製の型枠を組み立て、中にコンクリートを流し込み、固めて作ります。
言葉で書くのは簡単なのですが、なにぶん消波ブロックは巨大なため、型枠を吊りコンクリートを流し込むためのクレーン、型枠を組み立てる作業員、生コンクリートを運ぶミキサー車など、大勢の連携作業が必要になります。
人の大きさと照らし合わせると型枠やブロックの大きさがわかると思います。
なおこの消波ブロックは1つ32t。これはアフリカゾウ5頭に匹敵する重さです。
200個の消波ブロックを1000頭のアフリカゾウに脳内変換すると… 無意味ではありますが、むやみに楽しい気分になります。スケールの大きさだけでも感じていただけたら嬉しいです。
これは消波ブロックの型枠にコンクリートを流し込んでいるところ。
宇都トンネルのレポートにも書きましたが、生コンクリートは鮮度が命。
型枠に1度生コンクリートを注ぎ込んだら最後まで休む事なくコンクリートを注いでいきます。この消波ブロックを作るにはミキサー車3台強のコンクリートが必要で、作業中は常に次のミキサー車が待機していました。
コンクリートを注ぎ終えたら蓋をして、2日ほど待つとある程度固まり型枠をはずせるようになるそうです。
これだけ大きな消波ブロックも2日で固まってしまうとは驚きました。
コンクリートって意外と固まるの早いのですね。
その後、規定の強度に固まるまでヤードで保管します。その期間は約1ヶ月。
その間、ブロックに重量やナンバーをペイントします。
最終的に検査を経て、規定の強度を満たしていればいよいよ海へ投入となります!
■起重機船の出番!
消波ブロックの設置は起重機船を使って行われます。
しかしこの日は消波ブロックの設置ではなく、根固(ねがため)ブロックの調整を行っていました。
「根固」とは防波堤の芯になる本体やその基礎をしっかりと固定することをいいます。根固ブロックはそのためのブロックです。その形から「とうふ」と呼ばれることもあるんだとか。言われてみればたしかに形が似ていますね笑
この写真には写っていませんが、海中にはダイバーがおり無線で海中の様子を逐次地上に伝えていました。クレーン操縦士は、ダイバーの呼吸音に混じった指示を聞きながら根固ブロックの位置を微調整し、無駄な動作もなくブロックを設置していました。これこそまさに阿吽の呼吸!
根固がしっかり終わると、次は基礎に撒いている捨石を保護するため「被覆ブロック」を設置します。
写真は地上に置かれていた被覆ブロック。このブロックを捨て石の上に置くことで、波によって捨石が流出することを防ぎます。
こちらは本体の作業。本体は60余りのブロックで構成されており、これらを連結したら消波ブロックを設置。最後に上部コンクリートを打ってこの工区の防波堤が完成となります。
■変わりゆく山川漁港を支える南生建設
手前が今回の現場。奥にあるのが山川漁港
冒頭で少し触れましたが、南生建設は今回の防波堤だけでなく、「荷捌き施設増築工事」と「湾内の浚渫工事」も手掛けています。
山川漁港は荷捌き施設の増築を機に、今後製品の世界輸出を念頭に置いた水産加工場の改修なども検討しているそうです。世界で通用する港へと変わりつつある山川漁港。南生建設はその一端を担っていると言っても過言ではないと思います。
■この現場で活躍する南生建設のみなさま
所長の鈴木さんを中心に和やかな雰囲気で作業をされていました
先日梅雨も明け、これからしばらく猛暑が続きます。
また、時に台風やゲリラ豪雨などに見舞われることもあるかと思います。
体調に気を付け、雨にも負けず風にも負けず工事をやり遂げてください。
どうぞご安全に!
現場位置