株式会社アルナ川内工場 リニューアルプロジェクト第一期

さて今回訪れたのは、薩摩川内市「陸上自衛隊 川内駐屯地」のすぐ隣にある、株式会社アルナ鹿児島工場で行われている「工場リニューアル」の現場です。

こちらは現在の工場。
今も生産が行われていて、同じ敷地内のあいているスペースに新たな工場を建てています。



■株式会社アルナは「額装」のスペシャリスト

みなさん、「額装」と聞いてどんな様子を思い浮かべますか?
私は最初、絵や写真を飾るための額を思い浮かべました。

アルナではそういう絵を飾るための額はもちろんのこと、ボールやグラス、その他記念品など「飾るための装飾」ならなんでも相談に乗ってくれるそうです。

スポーツ業界からの注文も多く、バットやユニフォームを飾る額なども多く製造しているとのこと。



■商品はひとつひとつ手作り

額のサイズは飾る作品によってまちまち。
フレームをひとつひとつ切ることでお客様の要望するサイズの額を作っていきます。額を収納する箱も大きな紙を切ることでひとつひとつ丁寧に作っていきます。



「額に入れて飾る」というのは、よほどのことです。
そのお客様の気持ちを踏みにじることのないよう、まごころをこめて商品を作っているそうです。



■工場のリニューアルプロジェクト!

建築パース 設計:アーキヴィジョン広谷スタジオ


今回、工場のギャラリーやカフェ、見学スペースなどを備えた建物にリニューアルするプロジェクトの第一期工事に南生建設が携わっています。

現在行っているのはパース左側の工場を作る工事。こちらが完成したら現在の工場から生産の場を移し、現在の工場を取り壊し第二期工事に入るそうです。

限られたスペースをやりくりすることで同じ敷地内で建物を一新します。



■ふたりの女性技術者が管理をする現場

左が篠原さん、右が弓場さん

この現場の所長は南生建設内でTSUBOMI会(女性技術者の会)を主宰する篠原知香さん。
篠原さんは『吉田寿康園』 で撮影させていただいたのが最初なので気がつけばもう6年の仲。ついに現場を任されるまでになられたとはさすがです。
そして、篠原さんと一緒に働いているのは今年3年目の弓場梨里佳さん。

そう、ここは今ではまだ珍しい「女性技術者のみで管理をしている現場」なのです。

そもそも弓場さんが南生建設に入社されたのは、令和4年に発足した「TSUBOMI会」という、女性技術者にとって働きやすい環境づくりへの取り組みが大きかったようです。

大学で設計を学ばれた弓場さんですが、「現場を知らないまま設計をするのはちょっと…」と感じ、まずは現場を経験したいと考えたそうです。そんな時、県内の建設会社を調べていく中でTSUBOMI会の活動を知り、「女性が活躍できる会社なら」と、迷うことなく南生建設を選ばれたとのことです。

現在、南生建設にはまだ設計専門の部署はないそうですが、弓場さんは「いつか、建築士の資格をとり、自分で設計をするのが夢なんです」と、キラキラした笑顔で語ってくれました。

先輩の篠原さんも、「弓場さんは本当に丁寧でしっかりしていて、頑張り屋さんなんですよ」と、太鼓鼓判。まさに、これからの活躍が楽しみなホープですね。



■掘っても掘っても出てくる岩

現場作業のことも少し書いておきます。
ここは小高い山を拓くことでできた土地ということもあり、地盤改良の際、想定を上回る硬い岩が多数出現し、杭打ち機の部品が破損するアクシデントも。岩の多さは工事の遅延を招き、処分方法の検討も必要となるため、現場管理は難航しました。数百キロ級の岩の処分費用は決して小さくありません。

しかし、職人さんたちの尽力により、工事は順調に進捗。岩については、施主であるアルナさんにご理解いただき、駐車スペースの端に置き、落下防止の柵のように使うことで事なきを得たそうです。これらは、日頃の良好なコミュニケーションがあってこそ実現できたと言えるでしょう。



女性技術者だけの現場は南生建設でもはじめての試みだそうです。
先輩に憧れて入社した後輩と、その後輩を思いやる先輩。
この現場から南生建設の新しい流れがはじまるかもしれませんね。


工事完了は6月末の予定。これから壁を作ったり、内装を施したりがはじまります。

最後まで怪我などなくどうかご安全に!



今回の現場

■参考リンク

現場管理:南生建設

写真・文:小島健一

PHOTO LIBRARY現場レポート by小島健一
見学家小島健一が訪れた、鹿児島県の建設会社「南生建設」の手掛ける現場のレポートです。月に1度くらいの頻度で更新予定。